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Vol.1
このメルマガは、ディスペンサーのトータルソリューションを提供する(株)サンエイテックがお送りする、エンジニア向けWebマガジンです。 『近未来の快適デジライフ』と題して、身近な製品の半歩先の世界をお届けします。 |
近未来① 電子の眼がクルマを本当の「自動車」にする日も近い?
近未来② 「ワンセグ」は、新たな街頭TVなのかもしれない
「目的地まで運転頼む。俺は寝て行くから」「顔が赤いですよ、また二日酔いですか? あれほど任務に支障が出ないように注意したのに、大体あなたは食事のバランスが悪すぎます」「クルマのクセに、うるさいんだよ、お袋かお前は」…SFドラマで見られそうな光景ですが、ドライバと車載コンピュータI/Fとでこんな会話が交わされるもの、実は、もうすぐなのかもしれません。
小型化・高性能化の著しいCMOSイメージセンサは、当然自動車にも応用されています。例えば、昨今はワンボックスタイプが主流になっていますが、後方が見づらいという欠点があります。これを解消するために、バックドアの上部にCMOSカメラを取付け、その画像をダッシュボードのモニタに表示してくれるシステムがあります。ドライバはモニタに表示される補助線と、車体の角度を合わせれば、キレイに車庫入れが完了するという仕組みです。また、サイドミラーの下部にカメラを取付け、幅寄せのときの前輪と路肩との間合いを表示してくれるものもあります。これらは、既にCMなどでも紹介されていますが、CMOSイメージセンサの持つ高速処理性、単一低電圧駆動などの特性により実現した「新技術」なのです。これからレンズ周辺部の歪みなどを補正できるようになれば、更に見やすい画像が得られるようになり、特に運転に自信のない女性などにはうれしいサポートとなるでしょう。なんといっても、愛車を壁や電柱にこすったり、バンパとはいえ、ぶつけてしまうのは哀しいですからね。
自動車業界にとっての重要な開発案件に「安全技術」がありますが、実はここでも、CMOSイメージセンサの機能が活用されています。例えば、フロントガラスの上部に取り付けたCMOSによって、センターラインと路肩の白線を常に捉え、その枠内に車体があるように、ステアリングとスロットルを自動的に調整する、いわゆる「自動運転機能」などは既に実用化され、高級車を中心に搭載されています。メーカによってはこれを更に発展させ、道のカーブなどを予め読み取り、適正なステアリングの切れ角や、速度まで調整しようという研究も行われています。つまり、これが実現すれば、「ハンドル操作の誤り」や「スピードの出し過ぎ」による事故を抑制できるという考えなのです。他にも、ダッシュボードに組込んだカメラで、ドライバの表情や眼の動きを監視し、視線の移動量や、首を動かす動作が低下して基準以下になると、アラームを発信する「居眠り防止機能」も開発が進んでいますし、北欧地域などでは、霧や暗闇でヘッドライトが利かない状態でも、熱検出アルゴリズムを組み込んだCMOSにより、鮮明な画像を表示する「暗視システム」も実用化の目処が付き、あとはコストとの兼ねあいといわれています。つまり、例えばGPSで目的地を設定すれば、あとは昼でも夜でもクルマが自分で道路を見て、自分でステアリングをまわしてくれる日も、そう遠い日ではないのかもしれません。
しかし、そんな夢のような本当の話にも、落とし穴が二つあります。一つは、冒頭に登場したような超高性能AIでも積んでいない限り、とっさの緊急事態には対応できないこと。そしてもう一つは、クルマを「単なる移動の道具」ではなく、「運転するもの」として考えている人にとっては、「何でもしてくれるクルマ」に乗っていると、「一発で縦列駐車をキメル」などができなくなって、ちょっと物足りないということでしょうか。