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Vol.4
ディスペンサーのトータルソリューションを提供する(株)サンエイテックがお送りする、エンジニア向けWebマガジンです。 『近未来の快適デジライフ』と題して、身近な製品の半歩先の世界をお届けします。 |
近未来① 「もう一つの眼」が交通事故の抑止に繋がる
近未来② 電子の眼とネットワークが現代社会の危機を回避
最近、「ヒヤリ・ハット」と言う言葉を耳にしませんか? これは、アメリカの安全技師、ハインリッヒ氏が発表した『1:29:300』という法則が元になっています。いわく、『1の重大災害の下には、29の軽症事故があり、その下には300の無傷事故がある』というもので、つまりヒヤリで済んだその一回が、実は重大災害(死亡・重傷)につながっているということなのです。
これを逆に考えれば「ヒヤリ事例」を集めて統計を取っていけば、どういったときに事故がおきやすいのか、その予防措置になるのでは…? こう考えて開発されたデバイスの一つが、「ドライブレコーダ」なのです。
ドライブレコーダの歴史は、他のIT機器とは少々違っていて、損保協会やタクシー業界などが主体となって開発が進められてきました。つまり、「事故処理」の時に必ずもめる「こちらの信号が青だった」「そちらが一時停止を無視した」など「過失割合」の判定に、まさしく「白黒をつける」ための道具として発展してきたのです。構成は、サンバイザーに取り付けたCCDカメラと、加速度センサ、GPSモジュールなどからなり、通常モードではCCDからの情報は上書きされていきますが、衝突時の衝撃や、急ブレーキ、急ハンドルなどの「異常な操作」をセンサが感知すると、その前後15秒程度の画像をフラッシュメモリに録画するようになっています。GPSが組込まれているのは、「それがどこで起きたのか」を把握するためで、「事故多発地帯がどこなのか」を整理することができ、映像と照らし合わせれば、「何故事故が起きやすいのか」という原因の究明に繋がるのです。また、急ブレーキや急ハンドルに対しても反応するのは、まさしく「ヒヤリ・ハット」を実感として再認識するができ、これを、研修資料として利用すれば、単に「座学」ではないリアルさをもって受け止めることができるということです。更に、急加速などの「乱暴な運転」は商業車両につきもののマイナスイメージの解消や、燃費に対しての意識向上に繋がります。こうして、「事後処理用」として開発されたこのデバイスは、「予防啓発」を認められ、急速に普及しています。今後はタクシー、トラックなどから、一般車両にまで「初期装備」として搭載されるという観測も出てきているそうです。
過日9月1日は「防災の日」。言うまでもなく、1923年に関東大震災が起きた日です。また、夏休みには「日本列島が大地震とともに海に…」という映画も公開されました。この時期、職場や工場などでは避難訓練、消火訓練も盛んに行われますが、一方で「産業」自体も全国に分散している今日。こちらの「地震対策」はどのようになっているのか、紹介してみましょう。
地震波は初期微動を起こすP波と、主要動(本震)を起こすS波とがあり、この二波は伝達速度が違うことは良く知られています。この差は意外に大きく、P波はS波の約二倍の速度で到達します。例えば震源地から50?の地点では、S波の到達までに10秒程度のタイムラグが生じることになります。この差を用い、まずは各所に設置された観測点がP波をキャッチすると、エネルギの規模と、各点への到達時間差から震源の位置を算出します。これらの情報から、気象庁のスパコンで、本震の規模と各地への到達予測時刻などをインターネット回線を用いて「緊急地震速報」として配信します。この速報を受けた各端末側は、それを音声や文字表示、ランプなどと連動させて自動的にアナウンスしつつ、炉の火を落としたり、ラインを止めるなどの制御システムやサービス機器が既に開発、発売されています。また、もっと具体的に「震源地○○沖」「予想震度○」「到達まであと○秒」などの、警報を表示する機種も開発され、新築マンションでの初期装備など、一般家庭に向けてのリリースも予定されています。これにより迅速な避難行動や、その準備が行われることが期待されているのですが「あと10秒で到達します」と言われて、普通の人が一体どんなことができるんだ? と言う疑問は勿論あります。しかしたった一つ、そして最も有効な準備をすることができます。それはつまり心構え。軽く深呼吸して身構える。これだけでも、いきなり襲われるのとは雲泥の差です。①の「ドライブレコーダ」も同じですが、デバイスはあくまで人をサポートする道具です。やはり、最後は「人の力」が肝心ということなのではないでしょうか。