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Vol.5
ディスペンサーのトータルソリューションを提供する(株)サンエイテックがお送りする、エンジニア向けWebマガジンです。 『近未来の快適デジライフ』と題して、身近な製品の半歩先の世界をお届けします。 |
近未来① マウスやキータッチが苦手な方には朗報? 次代のI/Fは「音声」
近未来② 新技術を基に、改めて考えてみる「ディーゼルは悪者」…?


実際、音声入力のワープロソフトなどは既にかなりの数がリリースされています(TVショッピングなどでも、見かけますね)。登場したての頃は、音声認識率の低さや、誤変換の修正に手間が掛かり、「なんだかんだいってもキーボードに慣れる方が、早いし確実」と言われてきました。しかし、最近のソフトでは、辞書語彙の拡大によって、文章の流れで最適なものを選択でき、最新のものでは、90%以上の正変換を実現しているそうです。更に、「ソフトの起動」や「文書をファイル」「終了」など、入力以外の動作や、「画面上へのスクロール」など、マウスの操作、Webへのリンクなどもできるそうです。
また、「音声認識」以外のデバイスでは、「ジェスチャー感知I/F」が開発されています。使い方は、例えばファイルを開くなら「パッドに指を当て、スクリューキャップを開けるように軽くひねる」など、日常生活で連想できる動作に置き換えたジェスチャーを用いているようです。他にも、「カット&ペースト」で、文書を切り取るときはつまむように、貼付けは「指を外に向けてはじく」などが設定されているそうです。これが普及すれば「マウスで上手くドラッグできない」という悩みも解消するかもしれません。
2006年6月18日世界的自動車レース、ル・マン24時間耐久レースで新しい歴史が刻まれました。それは、「ディーゼルエンジンの勝利」です。また、この秋メルセデス・ベンツが主力セダンE-クラスをはじめ、スポーツカテゴリのSLKにもディーゼルエンジン搭載車を発表しました。現在欧州では、乗用車全体の約50%がディーゼル車といわれています。日本では「うるさい」「汚い」というイメージが払拭しきれないこのエンジンに、注目が集まっています。
確かにトラックやRV車の後ろでは、「黒煙」を浴びせられるのも事実です。しかし、これは年式が古かったり、整備が行き届いていないのが主な原因。エンジン制御の開発メーカーによれば、技術的な改良により1990年代に比べ、PM(粒子状物質・黒煙の正体)は約70%、窒素酸化物も50%削減されているといいます。更に、ガソリン車に比べて二酸化炭素排出量が少なく、化石燃料の消費量も抑えられる。また、構造が堅牢で耐用年数も長いため、廃棄サイクルを延長できる。つまり「あるものを長く大切に使う」という省資源対策の基本を実践できるのが「ディーゼルエンジン」なのです。

ディーゼルエンジンがこれだけ改善した背景には、「エンジン制御の進化」があります。例えばPMの低減には、噴射する燃料を微細化させる必要があり、それには高圧化と精密な噴射制御が必須です。これを実現したのが「コモンレール式電子制御」で、ピエゾ素子を用いたアクチュエータにより、180Mpa以上の高圧で0.1msの高速噴射や、粒子径の均一化を実現しています。一方、窒素酸化物を低減させるには、尿素を触媒に用い、窒素に還元する方式が注目されています。ここでは、排気ガスの温度管理や噴射のタイミングのため、CPUの処理の高速化、センサ技術やLANなど高度のデジタル技術が活用されています。
そして先日、ガソリン車と同等の低窒素酸化物・PMレベルが求められる米国の排出ガス規制「TierII Bin5」を、日本のメーカーが世界で初めてクリアしました。ここでは上記の尿素方式を更に進化させ、エンジンも小型化したことも発表されました。つまり、この技術は実用段階に達したといえるのです。
このように、国内では「いまいち」なディーゼルで、「世界初」を達成してしまう日本の技術力は、やはり誇らしいものです。ならば、イメージ先行の「悪者論」も、少し考え直す必要があるかもしれませんね。