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Vol.9
このメルマガは、ディスペンサーのトータルソリューションを提供する(株)サンエイテックがお送りする、エンジニア向けWebマガジンです。 『近未来の快適デジライフ』と題して、身近な製品の半歩先の世界をお届けします。 |
近未来① 機能もコンテンツもカスタムメイドに…「最新動画配信」
近未来② 次世代エンジニアリング素材の主役は確実?「樹脂技術」
現在でも、「オーディオ」に凝る方は、スピーカやアンプは勿論、ケーブルやラックにまでこだわりを持って、一つ一つ吟味して組み立てるといいます。これが、「映像・動画」の分野でも、可能になりそうな気配です。例えば、最新のデジタルTV用プロセッサでは、1チップでNTSC/PALのビデオデコーダや、IP変換などの画像処理が可能で、任意の画面作りや2画面表示などの機能を備えているそうです。画像の加工も、全体色から特定色だけを強め、肌色への影響を極力抑えたコントラスト調整などを実現しています。また、現在のデジタルTVの問題点として、バラバラに送られてくる画像、音声などのデータを再構成する際に、若干のズレや遅れが生じることが挙げられますが、これに対してもH.264のハイ・プロファイル/レベル4に対応するLSIが開発されています。これは、MPEG-2の約1/3のビットレートで同等の画質を実現でき、処理遅延も抑えることに成功しているそうです。これにより、低帯域回線でのデータ転送に対応でき、実際の衛星中継でも問題なく放送できたという実績もあるそうです。このように、個々の「機能」をそれぞれ際立たせ、それぞれ特化した機能を、個体ごとに構築できる。つまり、かつては製品全体で形作っていた性能を、チップやDSPで表現できる…つまり、これが「カスタム化」なのです。「樹脂製品」といえば、「プラスチック」や「ナイロン」など、最も身近な素材の一つですが、最近では「こんなところにも…」という分野にまで、多く用いられています。ここでは、驚くべき機能を持った製品をご紹介します。
例えば、「自動車に使われている樹脂製品は?」と問われたら、「インパネ」や「シート」など、内装関係が多く挙がるでしょう。しかし最新のモデルでは、エンジンカバーや、インテークマニホールドまで樹脂を用いているのです。これらを実現したのが「耐熱性」や「耐振動性」の向上であり、他にも、遮音用のシートや、センサコネクタ類の防水・防振用に多くの樹脂製品が用いられています。中でも特に、耐熱性については、熱分解温度600℃以上、荷重たわみ温度 435℃という超耐熱グレードの製品が実用化されています。
他にも、汚水濾過用高分子フィルタは、もはや製造業には欠かせませんし、「焼却できない」「土に還らない」と批判された性質ついても「生物分解性」を付加したプラスチックを筐体に用いたパソコンなども登場しています。

…というのも、あながち絵空事ではないかもしれません。例えば、ドイツの航空部品メーカは、アルミ合金よりも高い剛性を実現し、更に難燃剤の添加なしでも“UL94規格V-0”に適合の難燃性を備えたPEEK素材を開発し、エアバス社の新型航空機の部品として採用されています。他にも、炭素繊維の織物に樹脂を染み込ませたポリイミド製品は、航空機の機体やエンジンはもとより、スペースシャトルなどのアルミ合金の代替として、既に使用されています。
これらに共通する特性は、「異種素材との融合」が挙げられます。金属にも「合金」がありますが、樹脂のそれは全く異なる分野とのハイブリッドにより、様々な性能を作り出しているのです。考えてみれば、金属と同程度の強度が確保できれば、軽量である方が、燃費も、フリクションロスでも有利になります。つまり、高機能樹脂への切換えは必須であり、これからの発展性・機能進化は、興味の尽きないものといえるでしょう。