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近未来① 正真正銘「国産ジェット機」が舞い上がる日も近い
近未来② 「当たっているのか、いないのか」…ITと天気予報
「世界に冠たる技術力…」この言葉、誰もが認めるところでしょう。事実、アメリカでは自国の車よりも、日本車が売れているし、ニュース映像で見るカメラマンの手には、大抵日本の光学機器メーカーのロゴが見えます。更に、世界最大級の豪華客船が海原を渡り、地球を飛び出し、小惑星への着陸さえもやってのけるのが日本の技術力。しかし、ここで疑問がわきませんか? 「陸・海・宇宙があるのに、空は?」…確かに、YS-11という名機も存在しています。しかし、それ以降、この分野の発展はどうなっているのか? と、いうことで今回は日本の航空技術開発について、調べてみました。
2008年には商用サービスの就航が期待される新型ジェット旅客機787。その報道に曰く、「主翼の構造材であるカーボンプレート、胴体など、実に日本製の部品が1/3を占めている…」しかし、実際はこれらにとどまならいのです。特にエンジンについては「バッチ」はGE、もしくはロールスロイスですが、その内部構造の製作や、性能評価の流体解析などの大部分を、日本の企業が担当しています。
とは言え、いくらユニット単位の製造を行っていても、それをもって「日本製」とは言えないのは当然です。では、何が欠けているのか? 恐らく、エンジンも、機体も、着陸機構も、アビオニクスも、「つくる」こと、それ自体はできるのですが、一つの構造体として纏め上げることができない。つまり、敗戦後、日本は航空機産業を大幅に規制され、事実上そこで停止してしまったといえるのです。只でさえ「シミュレーションは万全でも、飛ばしてみなければ何が起きるか判らない」と言われる程、トライ&エラーが当たり前の分野で、「経験」を封じられた(YS-11は例外としても)のは、まさしく「蓋をされた」と同じでした。こうして時間が経ち、更に、「作ったとしても、市場がふさがってしまっている」という状態になってしまったのです。しかし、最近その「市場」の変化が、日本の「空の蓋」を外すことに繋がったのです。
今年のパリ航空ショーに三菱重工業が一つのモックアップを展示しました。“MRJ”という型番がつけられたそれは、70〜90人乗りの近・中距離用のジェット旅客機。公表されている特長は、空力解析による揚力制御の最適化や、機体の軽量化による低燃費、低排ガス・低騒音など、まさしく「日本の技術」で作られたというものが並ぶ一方、車いすでも利用できるトイレを採用するなど、バリアフリーにも対応したデザインとなっています。同社では、このMRJを2012年に就航させることを発表していますが、これは、現在の航空機市場の二極化が関連していると言われています。つまり、今・全世界の2トップは、それぞれ「大型機」を選択し、一方で南米を中心に少人数乗り小型機市場が急速に拡大しています。つまり、「大型機の寡占」と「小型機の乱立」があり、「中型機」のエリアが空いたので、という状況があり、2トップのうち、より日本に近しい方が「南米勢が拡大してこないうちに」という思惑もあって、「是非とも開発を」という運びになったという事情があると言われています。
一方、既に大空を飛んでいる「日本製ジェット機」も、実は存在しています。それは、本田技研工業が2005年に発表した、4〜5人乗りのビジネス機で、エンジンの開発まで自社で行った、珍しい機体として注目されました。こちらは、2010年には受注先への機体引渡しができるという事ですが、「日本企業」とはいえ、アメリカ法人を用いてのビジネス展開であり、その意味では「アメリカ製」となってしまうそうです。更に、JAXA主導で「次世代超音速機」の実験機が、オーストラリアの空を飛んでいます。つまり「日本製ジェット機」とは、既に「殻を破るのを待つばかり」、という状態と言えるかもしれませんね。
なんか、首筋がビシビシするから、台風がきたよ」など、自己流天気予報を行う人がいて、それが結構当たるということ、ありませんか? 一方で、「最新技術」「ITを駆使」する天気予報は、そういう割に、今ひとつ当たっているような、いないような…次は、そんな「微妙感」についてのお話です。
天気予報を一言で言い表すと「統計学」です。世界規模で観測される低気圧・高気圧の発生や風向き、気温などを集計し、過去のデータ・天気の変動パターンと照合し「ここに低気圧で、風向きはこう…こう押されてきて二日後には西日本に接近する、故に来週は雨」と、判断します。つまり、その判断材料になる観測件数の蓄積と、精度が重要になります。そして言うまでもなく、レーダードップラー、アメダスなど、観測機器の性能には申し分がないはずで、実際に短期予報では80%以上の的中率(気象庁発表)と言います。では、私達が「微妙だ」と感じるのは何故か? それは、まずこの80%以上という数値が、「全体平均」ということが関係していると言えるのです。つまり関東では当たらなくても、他の、関西や北海道で当たっていれば、数値としてはそこそこのものになります。しかし、私達にとっては、自分達の地域のみが判断材料。このギャップが、齟齬感となって現れているのでしょう。また、長期予報については、実際に「外れる」ケースが多くなってしまっているとも言います。それは、観測精度が上がり、判断材料には困らないはずなのですが、前述したように、天気予報とは、過去のパターンに現在のデータを当てはめて考えていますが、その展開が過去のものとは、微妙にずれてきてしまっているのです。その原因としては、温暖化による気候変動などに加え、「観測拠点の細分化により材料が多くなり過ぎて、かえって判断が難しい」という声も聞かれます。では、天気予報はこれからどうなるのか? 実はそのポイントも、この「細分化」なのです。つまり、より細かい地域の、細かい時間での予報行うことができるということです。それを、例えば携帯電話のWebを通して配信するなどのサービスも、一部で始まっています。これを発展させれば、刻一刻と変わる天気をリアルタイムでキャッチできるということにも繋がります。ネガティブな要因を、ポジティブに変えていくのも、技術発展の面白さかもしれませんね。
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