2019年8月8日更新

塗布に係る流体粘度関係って?

製造現場での「困った実例」を徹底解説。サンエイテックだから実現可能な、すぐに役立つ解決案をご提示します。
今回のテーマ 今回は「流体と粘度」について掘り下げみます。私たちの身の回りは様々な液体にあふれていますが、一つ一つに個性があるようです。なかでも粘度はディスペンサーで塗布する時に必須の情報になります。
例えば、ボールペンやペンキってそのままだとドロっとしてて固いのに、どうしてサラサラ〜っと文字が書けるんだろう?
エイちゃん、いいことに気が付いたのう。それは液体の「チキソロトピー」という現象によるものなんじゃ。
ボールペンのインクは先端のボールの回転によって「ずり応力」という力が働いてインクの粘度が下がるから、なめらかに文字が書けるんじゃよ。「ゲルボールペン」がいい例じゃな。
ペンキはかき混ぜることで力が加わり塗りやすくなるんじゃ。これもチキソロトピーを利用したものじゃよ。
ちなみに、一定時間放置すると元に戻るのもチキソロトピーの性質なの。だからインクが垂れたり流れたりしないのよ〜
他にも化粧品のクリームや、口紅、ヘアワックスなどもあるわね。
塗料やペースト材や溶剤など、この性質のある液剤がほとんどだから、塗布テストで安定性のある条件を見つけるのにいつも苦労するんだぜ。

液体だったり固体だったり、物質によってそれぞれいろんな特徴があるんだね。
ボールペンのインクは書いた後固まるけど、溶けたアイスはそのままにしても元に戻らないし。。誰かアイス買ってぇ〜

チキソロトピー1 「粘度」とは、一言で表すと「流体の粘りっこさ」のことです。「ドロドロ」「サラサラ」「トロトロ」など、その見た目や感触で様々な表現をしますが、それらを数値化しものを「粘度」といいます。 単位面積をズラすのに必要な力を「ずり応力」といいます。ずり応力を与えることで液体は変形します。単位表面積をA、ズラす力をFとした時、ずり応力はS=F/A になります。パイプやタンクなどで液体を動作させている時はいつも応力がかかっています。 チキソロトピー2
そして「粘度」は、ずり応力(単位は[Pa])と、ずり速度(ひずみを与える速度)との対比で表されます。
「粘度」から液体を見ると、「ニュートン流体」と「非ニュートン流体」の2つに分類できます。「ニュートン流体」は、粘度がずり速度で変化しない液体のことで、水やハチミツな どがその例です。一方で、「非ニュートン流体」は、粘度がずり速度で変化する液体を言い、日常的に目に触れる流体(マヨネーズ、マーガリン、生クリームなど)や工業的に使われる殆どの流体が該当します。 シアシックリング流体とシアシニング流体 「非ニュートン流体」は、またいくつの種類に分けられます。加えられる変形速度が早いほど粘度が増す流体を「シアシックリング流体」といい、それとは逆に、ずり速度の上昇によって粘度が下がる液体を「シアシニング流体」といいます。「シアシニング流体」は高分子液体やエマルションなど、触ってヌルヌルするような液体です。また、流れのもとで、時間とともにずり応力が小さくなる作用を「チキソトロピー」とと呼びます。「チキソトロピー」を示す流体は、一定の力をかけ続けることで粘度が下がったり、下がった粘度がある一定時間放置したりすると元に戻ったりします。そしてこのような性質を持つものを、「チキソ性がある」とか「チキソが強い」と表現します。
「非ニュートン流体」を塗布する場合、その性質のため、加えられる力や速度によって粘度が変化することがあります。ディスペンサーやポンプを使用する時には基本的に流体に力を加えて移送するので、設定した吐出量が出てこない、流量が得られないなどの問題が生じることがあります。
例えばジェットディスペンサーで「シアシニング流体」を高速で微小量塗布する場合、ノズルから吐出される時に粘度が減少することががあります。
高速ジェットディスペンサー「HYPERDOT」
では、液体がノズルのオリフィスの中に 流入する時間(Refill時間)を設定できるので、液体の状態に合わせて調整し、定量で安定した吐出が可能です。
また、容積移送式マイクロディスペンサー「Preeflow®」は、一定容積の液体を回転運動で移送させるので、特に高粘度の「非ニュートン流体」の塗布作業に適してます。

チキソロトピーの回復性
ワンポイント お問い合わせ物質の流動や変形に関する科学についての学問を「レオロジー」といいます。ディスペンサーで使用する液剤は様々で、塗布する液体の挙動も多様です。サンエイテックでは、実験や試験によって使用する液体の条件に適したディスペンサーを提案しております。ぜひご用命ください。
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