2022年5月17日更新

ディスペンス水頭差って何なのサ?

製造現場での「困った実例」を徹底解説。サンエイテックだから実現可能な、すぐに役立つ解決案をご提示します。
今回のテーマエアー式ディスペンサーは、接着剤や封止材、ガスケット材などをシリンジに充填して塗布します。タイムプレッシャー方式を採用し、シリンジの上部からエアーで加圧して、吐出ノズルから吐出します。この方式における課題のひとつに吐出量の変化があります。今回は、その要因と対策について考察します。
あー、また塗布サイズが変化してる~(>_<)
ディスペンサーで吐出時間と吐出圧力を一定に保ったんだけどなあ〜
フクダパイセンでも、ばらつきが起きることがあるんだね。
シリンジ内の液剤が少なくなると吐出量が減って行く現象が起きるんだよ。水頭差はやっかいなんだぜ。
水筒差ってなあに〜?
「水頭差」じゃよ。
説明するのはと~っても難しいんじゃが… 要するに、水頭差とは「液面の高さの差」のことなんじゃよ。 水のような液体は、温度や圧力によって体積がほとんど変化しないけど、 空気のような気体は圧力によって体積が大きく変化するじゃろ… エアー式ディスペンサーでは、シリンジ内の液剤が少なくなって空気の容積が増えると、 決められた吐出サイズを得るために、より多くのエアーを加圧することが必要になるんじゃよ。
吐出するまでにより多くの時間がかかるから、そのタイムラグが吐出量に影響してしまうのさ。 だからこれまでは、液剤の残量レベルに応じて吐出設定を最適化しなおすことが必要だったのさ。
ディスペンスの技術って難しいんだね。。よくわからないよ〜💦
わからないときはプロに聞くのが一番!そういう時こそサンエイテックに相談よ〜
最近はZoom相談も始めたのよ♪(←宣伝)
エアー式ディスペンサーは、手作業と自動化プロセスの両方で使用されています。 手作業では、通常、作業者がシリンジを手で持ち、フットペダルでエアー圧の持続時間を制御します。 自動化プロセスでは、高速でエアー圧のオン/オフを繰り返し動作させて、1時間あたりおよそ40,000ドットを塗布することが可能です。 エアー式ディスペンサーでは、液剤粘度とシリンジ内液剤の残量レベルの変化で塗布の安定性が阻害されることがあります。これは「水頭差現象」と言われるもので、作業者は、吐出時間とエアー圧を調整して、可能な限り補正します。

水頭差現象って?

エアー式ディスペンサーを使用する時、吐出時間と吐出圧力を、常に一定に保つように設定しても、液剤残量が減少するに従って、吐出量が減少する状態が生じる場合があります。
標準的な エアーパルス式ディスペンサーの構成

材料レベルの変化

タイムプレッシャー方式では、シリンジ内の液剤が少なくなって空気の容積が増えると、 決められた吐出サイズを得るために、より多くのエアーを加圧することが必要になります。 空気容積の増加に伴い、加圧速度が低下し、吐出により多くの時間がかかります。そのタイムラグが影響して、吐出サイズが小さくなることが起きます。これが「水頭差」と呼ばれる現象です。
「水頭差現象」は、空気が圧縮性流体であることに起因しています。そして、吐出量が微量であるほど起きやすくなります。 同じ吐出サイズの材料をノズルから押し出すためにかかる圧力は、材料の残量レベルで変わります。液剤が少なくなって、残量レベルが低い位置にある時は、シリンジ内に液剤に、より加圧する必要があります。 従来方法では、水頭差の影響による吐出量のばらつきを防止するために、液剤残量のレベルに応じて吐出条件を再設定する必要がありました。また、作業者によって、設定のばらつきが生じて、生産量の低下や、製品品質、歩留まりへの影響が課題とされていました。

標準的なエアーパルス式ディスペンサーの構成

塗布のばらつきを解消する高精度な塗布プロセスとは

タイムプレッシャー方式では、水頭差による影響以外にも、環境温度の変化、液剤材料の粘度や特性などで、塗布のばらつきが起きる場合があります。 より高精度な塗布が要求されるプロセスでは、これらの変動要因の影響を受けない「高精度容積移送式ディスペンサー」を導入する塗布プロセスが増えています。
また、「ビジョン式ロボットシステム」を導入することで、吐出サイズを正確に測定し、継続的にモニターし補正することが可能です。

シリンジに直接取り付く、コンパクトなシリンジフィットバルブ「SV22」

この度、サンエイテックでは、「水頭差」問題解消に導く、ニューコンセプトバルブを開発しました。

SV22について詳しくはこちらから>>

特長1:水頭差現象による塗布のばらつきを大幅解消

シリンジフィットバルブ SV22は、シリンジの直下に搭載するコンパクトバルブです。独自のバルブ制御により水頭差現象を大幅に改善します。 低粘度から中粘度までの液剤を、安定塗布することが可能です。


特長2:小~中粘度液剤を安定塗布

最大20,000mPa・sまでの液剤を高精度に定量塗布します。


特長3:反応性液剤にも適用

嫌気性、瞬間接着剤の塗布に対応。接液部はメタルフリー。接液部材質:PEEK/PTFE/Oリング(FKM/FFKM)


ワンポイント お問い合わせ「塗布の安定性」は、より高度な塗布品質が求められる「マイクロディスペンス」の作業現場で、特に大きな課題とされています。
『Zoom塗布ソリューション相談窓口』を開設しました。個別の塗布プロセスについての疑問や問題を解消します!!ぜひ、お気軽にご相談ください。

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