2019年1月7日更新

空中ディスプレイ実現可能?

今・昔・未来☆テクノロジー万華鏡は、「近未来の快適デジライフ」や「エンジニアリングなよもやまばなし」の掲載から10年経った今、果たして本当の「未来」はどうだったのか、そして、これからどうなって行くのかを考えるコンテンツです。
今回のテーマ映画に描かれる未来に必ずと言ってもいいほど登場するのが、空中に描画されたディスプレイ。登場人物を囲んだ空中にディスプレイ映像が浮かんでいたり、タッチパネルのように空中を手で操作したりしています。この空中に表示する技術、まだ生活の中ではあまり見かけませんが、現在の技術でどこまで実現しているのでしょう。そして近い将来、液晶ディスプレイやタッチパネルに代わるものになるのでしょうか。
あー、寝転がりながら空中の画面で買い物できたらいいのになあー
そしたらずっとゴロゴロできるのにぃー
いたた…
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そんな夢みたいなことできるわけないじゃん!グータラしてないで買い物行ってこいってー
 
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フクダ先輩、実は空中に描く技術は既に実用化されていて、タッチする感触なども研究されているのじゃ。
指の動きはセンサーで認識すればいいのじゃが、実際に押した気がしないじゃろ。そこで空中に感触を与える技術を研究しているのじゃよ。

押した感覚がないと買い物できたかわからないものね。空中ディスプレイ、早く使えるようにならないかなー
なるほど、今や空中ディスプレイは雲をつかむような話というわけではなくなったというわけか、空中だけに!
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空中ディスプレイ 空中に映像を描画させる技術としては「ペッパーズ・ゴースト」というものがあります。「ペッパーズ・ゴースト」とは、見ている人と舞台の間に45度の角度でガラスを設置し、ガラスの向こう側の舞台と、ガラスに反射する像を合成させて、舞台上に像を浮遊させて見せるものです。おもにテーマパークのアトラクションや舞台演出に利用されています。
 デジタルサイネージや操作画面などを空中に描画する方法として実用化されているものとしては、再帰反射方式があります。再帰反射とは道路標識にも利用されているもので、与えた光と同じ方向に反射する構造を持っています。これと光の一部を反射し一部を透過させるビームスプリッターを組み合わせます。この組み合わせによって、ディスプレイから照射された映像がビームスプリッターに反射され、再帰性反射構造で再び反射されると今度はビームスプリッターを透過する光となり空中に映像を表示させます。
 空中の画面に対する操作を認識させる方法はいくつかあり、小型カメラのようなセンシングデバイスに指の動きを認識させて、そのジェスチャーを解析させる方法などが採用されています。
 空中で操作した際のリアリティを出す方法としては、超音波の利用が研究されています。空中操作をしたポイントに対して指向性を持たせた超音波を発することで、指に「押した」感触が感じられる技術です。
 これらの技術が組み合わさることで、アトラクションやサイネージの分野だけでなく、自動車の操作系や、食品などの衛生管理が必要な分野における非接触インターフェースとしての利用が期待されているようです。
ワンポイント お問い合わせ 今注目されているMR(複合現実)技術はまさに実用化の段階に入ってきました。航空機業界ではパイロットと整備士向けの訓練用アプリケーションとして、視界上にリアルに再現されたコックピット空間で教育訓練を受けられ、また整備士の養成訓練においてはエンジンパネルを開けずにシステム構造や部品名称が学習でき、時間を選ばない質の高い技能習得が期待されています。また、海運業界の船舶のメンテナンス等でも、機器上に作業手順などが表示され、より安全に短時間で作業が可能になると考えられています。今後より一般的な分野でも、空中ディスプレイはさらに実用化されていきそうです。
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