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ディスペンサー技術ガイド

本記事は、定量ディスペンサーの最終吐出部に使用されるダイアフラムバルブについて、基礎から応用まで解説します。
電子部品や精密機器の製造現場で液剤の高精度な吐出が求められる方、またはバルブ選定に悩む技術者や購買担当者に向けて、ディスペンスダイアフラムバルブの構造・特長・用途・選定ポイントをわかりやすくまとめました。
サンエイテックの高耐久・高機能バルブの情報も網羅し、現場で役立つ知識を提供します。

ディスペンス用途のダイアフラムバルブ

ディスペンス用途のダイアフラムバルブ

ダイアフラムバルブは、精密な液剤制御が求められるディスペンサー用途にも広く活用されています。ディスペンサー分野では、単なる開閉機能ではなく、吐出量の再現性、応答性、液だれ防止、微量制御性能といった高度な性能が求められます。
ダイアフラムバルブは、接液部と駆動部を完全に分離する構造により、液剤の逆流や固着、駆動部への侵入を防止できるため、安定した吐出制御に適しています。特に強い硬化特性を持つ材料の定量吐出において、その構造的メリットは大きな強みとなります。
また、ダイアフラムがシール部に密着することで高いシール性を確保でき、吐出停止時の液だれを抑制しやすい点も、ディスペンサー用途における重要な特徴です。
このように、ダイアフラムバルブはプロセス配管用の遮断弁としてだけでなく、精密ディスペンシングの最終吐出機構としても有効な技術です。用途や液剤特性に応じて最適設計を行うことで、高精度・高信頼性の定量吐出を実現する制御デバイスとして機能します。

ディスペンス用途のダイアフラムバルブのメリット・デメリット

ダイアフラムバルブは、流量制御と液剤隔離構造を両立した方式として多く採用されています。一方で、粘度条件や材料特性によっては制約も存在します。

メリット

  • 1. 少量吐出への高い適性
    ダイアフラムの変位量が小さく、流路容積も小さいため、安定した少量吐出が可能です。ドット径のばらつきを抑制しやすく、安定塗布に適しています。
  • 2. 接液部と駆動部の分離構造
    ダイアフラムが隔壁となるため、液剤が駆動部へ侵入しにくい構造です。硬化性材料や揮発性材料にも対応しやすく、トラブルリスクを低減します。
  • 3. シール性が高く密閉性が高い
    ダイアフラム構造でシール性が高いため、密閉性も高くなります。湿気硬化型の液剤のバルブ内部での硬化を防ぎます。

デメリット

  • 1. 超高粘度材料には不向き
    流路径が比較的小さいため、高粘度グリースやフィラー高含有材料では流動抵抗が大きくなります。
  • 2. ダイアフラムの疲労
    繰り返し変位により、長期使用ではダイアフラムの劣化が発生します。定期的な交換が必要です。
  • 3. 大吐出量用途には制限
    一度に大量吐出する用途では、他方式(ピストン・ジェット)が適する場合があります。

サンエイテックのダイアフラムバルブ

サンエイテックダイアフラムバルブSV62

サンエイテックでは、精密塗布用途に対応したダイアフラムバルブをラインナップしています。代表的なバルブとしてSV62があります。低~中粘度液剤の安定吐出を実現し、液だれ抑制・高耐久・メンテナンス性を重視した設計が特長です。 電子部品組立、基板実装、精密機器封止などの工程で幅広く採用されています。

サンエイテックダイアフラムバルブSV62の特長

ダイアフラムバルブSV62

サンエイテックは、定量ディスペンサー用のダイアフラムバルブにおいて高い評価を受けています。
SV62ダイアフラムバルブは、ダイアフラム部に高耐久のUHMW(超高分子量ポリエチレン)を採用し、1億サイクルの高耐久性を誇ります。これは従来のディスペンス用ダイアフラムバルブの2倍以上の耐久性になります。また、液剤チャンバーも含めて接液部が全て樹脂で構成されていますので、金属イオン反応を嫌う液剤や腐食性の高い薬品にも安心して使用でき、瞬間接着剤や嫌気性接着剤など幅広い液剤に対応可能です。
高いシール性と液漏れ防止性能、メンテナンス性の高さも大きな特長で一般的なダイアフラムバルブのデメリットを総合的にカバーしています。

  • ・1億サイクルの高耐久性
  • ・接液部には高耐久UHMW使用
  • ・金属イオン反応を嫌う液剤にも対応
  • ・高い耐薬品性
  • ・液剤へのコンタミ防止
  • ・高いシール性と液漏れ防止
  • ・接液パーツが少なくメンテナンスが容易

サンエイテックダイアフラムバルブの構造

SV62断面図

SV62ダイアフラムバルブも一般的な物と同様、接液部と駆動部がダイアフラムによって分けられています。
ダイアフラムの壁によって駆動部への液の侵入を防いでいます。
接液部は、部品点数2点の単純構造になっており、メンテナンスにも配慮した構造です。
非常にシンプルは構造であるからこそ、部品の精度にとことんこだわっており、そこから生み出される高いシール性、定量性には定評があります。

サンエイテックダイアフラムバルブの吐出メカニズム

SV62ダイアフラムバルブもダイアフラムの弾性を利用して流体の通路を開閉します。
駆動エアーの入力があると駆動部からの圧力動作がダイアフラムに伝わり、ダイアフラム=弁が開きます(図1)。駆動エアーがOFFされるとダイアフラムが閉じ、液体流路をしっかりとシールします。この動作の繰り返しで液剤の流れを瞬時にON/OFF制御できます。
この仕組みとダイアフラムによる遮閉構造により、液剤が駆動部に侵入することがありません。接液部のみで流体をコントロールできるため、液漏れや汚染リスクが大幅に低減します。 また、シール性が高く、定量制御が求められる用途に最適です。

SV62の動作図

図1

SV62の動作図

図2

サンエイテックダイアフラムバルブのおすすめ用途

様々な用途で活躍中のサンエイテックダイアフラムバルブ(SV62)ですが、流路は比較的狭く、低粘度の液剤をスムーズに吐出できるように設計されています。 特におすすめの用途(液剤)としては、以下となります。

・瞬間接着剤布

瞬間接着剤は低粘度で浸透性が高く、わずかな過吐出でも外観不良や機能不良につながります。


・嫌気性接着剤

嫌気性接着剤は空気遮断下で硬化する特性を持ち、ねじ部や金属嵌合部の固定に広く使用されています。


・溶剤、フラックス塗布

溶剤やフラックスは低粘度で揮発性が高く、液だれやにじみが発生しやすい材料です。また、材料によってはバルブ内部へのアタック性も考慮する必要があります。

瞬間接着剤と嫌気性接着剤は、低粘度であることが多く、硬化も早いため吐出量の コントロールが非常に繊細です。SV62は流路径が小さく、開閉応答性に優れるため、少量ドット塗布の再現性が高く、はみ出しや接着不良を抑制します。 液剤が駆動部に侵入しないため、硬化による固着リスクも低減できます。
瞬間接着剤や嫌気性接着剤等は、金属イオン反応をする液剤になります。
接液部が樹脂で出来ているSV62ダイアフラムバルブは、その反応を促進させず安全に吐出させることが可能です。嫌気性接着にUV硬化を付与した液剤もありますが、その場合にはSV62Bという遮光タイプのチャンバーのモデルもあります。UV光からの影響を気にせずご使用いただけます。
薬液による影響を受けにくい樹脂素材で構成されているため、溶剤でも膨潤や軟化、亀裂などの問題なく長寿命でお使いただけます。溶剤は粘度が低いことが多いですが、ダイアフラムの高いシール性により液漏れや隙間からの揮発も起こらず安全に塗布することができます。

まとめ

ここまで、ディスペンス用途のダイアフラムの基礎的な知識からサンエイテック製のダイアフラムバルブまでご紹介してきました。
ダイアフラムバルブは接液部と駆動部を明確に分けており、ディスペンス用途でもその構造は大いにメリットになります。駆動部への液剤の侵入を防ぐだけで無く、液剤へのコンタミ防止にもなるため、常にメンテナンスフリーでクリーンなディスペンスを実現できます。
サンエイテックのダイアフラムバルブはお客様のご要望に合わせて数種類準備がございます。弊社では、ご要求に合わせて適切に選定をさせていただき、迅速な立上げを支援させていただきます。
液剤の粘度や特性によっては別のタイプのバルブが推奨される場合もあります。デモ機のお貸出しや塗布テストについても対応をさせていただきますのでお気軽にご連絡くださいませ。