

ディスペンサー技術ガイド
本記事では、定量ディスペンサーの最終吐出部に使用されるニードルバルブ(Needle Valve)について、基礎から実践用途まで詳しく解説します。
サンエイテックの精密ディスペンスニードルバルブSV51についても詳しく解説しています。
低~中粘度液の微量塗布を安定させたい技術者の方、塗布品質のばらつきや液だれにお悩みの生産技術担当者様、最適なディスペンスバルブ選定を検討中の購買担当者様に向けて、構造・特長・用途・選定ポイントを体系的にまとめました。
低~中粘度液のディスペンス工程では、「狙った量を安定して吐出すること」と「応答性よく止めること」が品質確保の重要要素となります。
その用途で広く採用されているのがニードルバルブ式ディスペンサーです。
ニードルバルブは、先端が針状(ニードル形状)になったシャフトがバルブ内部を上下動することで流路を開閉する構造です。
微細な開度制御が可能であり、特に以下のような状況で有効です。
ニードルバルブは、主に以下のような低~中粘度液剤に適しています。
一般的に数mPa・s~数万mPa・s程度が適用レンジとなります(機種仕様による)。
ニードルバルブは精密塗布用途に適した方式ですが、材料条件や工程要件により適否が分かれます。
メリット
デメリット
サンエイテックにも精密なニードルバルブのラインナップがあります。代表的な機種として「SV51」があります。ニードルバルブSV51は、溶剤や低粘度UV剤等の低~中粘度液剤を液ダレなく安定塗布することが可能です。微量吐出向けに設計されたニードル弁とシート構造により、微小量領域での微調整を可能にしています。
SV51の特長は以下になります。
1.鋭角なニードル弁構造で微細な流量調整が可能
ニードルバルブSV51に搭載されているニードル弁は一般的なものと比較して鋭角にカットされています。この構造により微細流量の調整を可能にしています。
ニードルバルブは、僅かなニードル開度でも流量が大きく変化してしまうためニードル先端部の作りは非常に重要になります。
2.常時加圧による水頭差抑制
SV51は主に低粘度の液剤で使用されます。その際に課題となるのは液剤の残量によって吐出量が変化してしまう「水頭差」の問題です。通常はシリンジ塗布においてパルス塗布をすることで起こる課題ですが、SV51では常時加圧をしていることにより、この水頭差を抑制しています。液面の高さを気にすることなく安定塗布が可能です。
エアー式はパルスで一定量のエアーを供給するため液面が下がって来るとエアー量が足りなくなります。
SV51では常時一定圧のエアーを供給し続けるため液面高さに関係なく吐出が安定します。
3.幅広い液剤と粘度に対応が可能な万能バルブ
SV51は、液剤の対応範囲が広いことも特徴です。低中粘度であれば様々な液剤に適用可能です。
SV51ニードルバルブもニードル弁にシートを組み合わせた構造です。
ニードル弁はシートに対して絶妙な角度で接触をしており、しっかりとシールされて液の漏れを防いでいます。ニードル弁の開度はバルブ後端のストローク機構で調整することが出来ます。
ニードル弁は液剤シール部からバルブ後端まで一貫した構造となっており、ニードル弁全体はピストンスプリングによって押し下げられています。液剤供給口はニードル弁の横方向に設けられており、低~中粘度の液剤を無駄なく流すことのできるサイズで設計されています。
ノズルは様々なサイズが装着できるため用途に合わせてノズルの選定が可能です。ノズルは、リテーニングナットによってしっかりと固定できるため安全に使用することが可能です。
接液部の部品点数は非常に少なくメンテナンスが容易です。
動作概要としては、以下になります。
この動作によって液剤を確実に止めます。
ニードルバルブSV51の用途は多岐に渡ります。低中粘度の液剤がターゲットですが、使われる業界やアプリケーションは様々です。以下に例を挙げます。
半導体や基板部品を樹脂で保護し、耐湿性・耐振動性を確保する工程。
基板への湿気保護・防塵の目的でコーティング剤を塗布します。
FPC補強部へのUV接着剤定量塗布。
コネクター端子部へのフラックスの微量塗布。
マイクロスイッチ内部への潤滑剤塗布。
モーター軸受けへの低中粘度グリス塗布。
本コラムでは、ディスペンス用途におけるニードルバルブの基礎構造から実践的な活用ポイントまでを整理しました。
低~中粘度液の微量塗布工程においては、「狙った量を安定して吐出すること」と「確実に止めること」が品質を左右します。
ニードルバルブは、ニードル状シャフトによる精密な開閉機構を通じて高い応答性と流量調整性を両立し、微量滴下や細ビード形成など再現性が求められる工程に適した方式です。一方で、高粘度材料やフィラー含有材への適用には制約があり、材料特性を踏まえた選定が不可欠です。
サンエイテックのSV51は、鋭角ニードル構造による微細流量制御と、常時加圧方式による水頭差抑制を特長とし、液残量に左右されない安定塗布を実現します。さらに、シンプルな構造設計によりメンテナンス性にも優れ、幅広い低~中粘度液に対応可能です。
ディスペンス品質の安定化は、バルブ選定の最適化から始まります。本コラムが、自社工程に最適なバルブ方式を見極める一助となれば幸いです。