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ディスペンサー技術ガイド

本記事は、定量ディスペンサーの最終吐出部に使用されるピストンバルブについて、基礎から応用まで徹底的に解説します。
サンエイテックの高精度ピストンバルブSV35DAについても詳しく解説します。
電子部品や精密機器の製造現場で液剤の高精度な吐出が求められる方、またはバルブ選定に悩む技術者や購買担当者に向けて、ディスペンスピストンバルブの構造・特長・用途・選定ポイントをわかりやすくまとめました。

ディスペンス用途のピストンバルブ

ディスペンス用途のピストンバルブ

中高粘度液のディスペンス工程では、「確実に吐出し、確実に止める」ことが品質安定の鍵となります。その中で広く採用されているのがピストンバルブ式ディスペンサーです。ピストンバルブディスペンサーは、一般的なピストンバルブ同様にシリンダー筒の中にピストンが入っており、上下に開閉動作をすることで吐出を行います。流量確保、液だれ防止といった性能を発揮し、特に粘度の高い液剤に有効に作用します。

ディスペンス用途のピストンバルブの主な対応液剤

ピストンバルブディスペンサーは主に以下のような中高粘度の液剤を吐出するために使用されます。

  • ・グリース
  • ・シリコーン樹脂
  • ・UV接着剤(高粘度タイプ)
  • ・エポキシ樹脂
  • ・ウレタン樹脂
  • ・フィラー入りペースト
  • ・放熱グリース

ディスペンス用途ピストンバルブのメリット・デメリット

ピストンバルブは、中高粘度材料の定量吐出に適したディスペンサー方式として広く採用されています。一方で、用途や条件によっては制約も存在します。導入検討時には、構造特性を正しく理解することが重要です。

メリット

  • 高い遮断性(液だれ防止)
    ピストン先端がシート部に密着する強制シャットオフ構造により、吐出停止時の液だれ を抑制できます。 特にシリコーンやグリースなどの中高粘度材料に有効です。
  • 中高粘度材料への適応力
    数万~数十万mPa·sクラスの材料でも安定吐出が可能です。 流路径を比較的大きく設計されているため、高粘度材料に対応しやすい構造です。
  • 構造が比較的シンプル
    駆動原理が明確で部品点数も限定的なため、耐久性に優れ、メンテナンス性も比較的良好です。量産ラインでの安定稼働に適しています。

デメリット

  • 超微小吐出には不向き
    中高粘度対応で流路が広いこともあり、微小での吐出には適していません。
  • 高速ラインへの対応限界
    機械的な上下動作を伴うため、応答速度には物理的な限界があります。超高速タクトが要求される工程では他方式が優位となる場合があります。
  • 摩耗リスク
    フィラー入り材料を使用すると、シート部やピストン部に摩耗が発生する可能性があります。定期交換が必要です。

ピストンバルブSV35DA

ピストンバルブSV35DA

ピストンバルブSV35DA

サンエイテックにもピストンバルブのラインナップがあります。代表的な機種として「SV35DA」があります。ピストンバルブSV35DAは、グリスやシリコン等の中~高粘度液剤を液ダレなく安定塗布することが可能です。また、UHMWダイアフラムのシーリングヘッドは、研磨性の高い液剤でも磨耗を抑え長寿命の動作が可能です。

ピストンバルブSV35DAの特長

ピストンバルブSV35DA内部図

SV35DAの特長は以下になります。
1.サックバック機構による液だれ防止
ピストンバルブSV35DAには、サックバック機能が搭載されています。
吐出する際には、圧力をかけて液剤を流します。吐出終了時には、流れ方向に残圧が残るため一般的なバルブでは吐出後に液だれを起こしがちです。SV35DAではピストンを引いて止めるサックバック機構によって、残圧を吸収し液剤をノズルに引き戻します。これにより吐出後の液だれを防止することができます。この際にシーリングヘッドが大きな負圧を生成するためサックバック効果が大きくなります。
シリコーンやグリースなどの中高粘度材料に有効です。

2. 高耐久と高い耐薬品性
SV35DAでは、摺動する場所等の摩耗が起こりやすいシーリングヘッド部にUHMW(高分子ポリマー)を使用して耐摩耗性を向上させています。これにより、シーリングヘッドと液剤の接触による摩耗を大幅に軽減し、部品交換の時間を減らすことができます。
また、接液部は主にSUSとUHMWになるため、耐薬品性も高くなっています。液剤そのものが、アタック性が強い場合にはもちろん、洗浄時の薬液にも余裕を持って耐えうる性能です。


3. 接液部と駆動部を分けるダイアフラム機構
バルブの吐出メカニズムはピストン方式ですが、接液部と駆動部を分ける機構にダイアフラムバルブと同様に「ダイアフラム」を採用しています。硬化性の強い液剤が駆動部に回り込んで駆動部を固着させてしまうというトラブルを防いでいます。このダイアフラムはピストンの動作に合わせて柔軟に動作します。材質にはUHMWを採用しており、耐薬品性、耐摩耗性には強い上に、1億サイクルの駆動を可能にした耐久性も備えています※1。 ※1:液剤の種類や吐出条件によって部品寿命は前後します。


ピストンバルブSV35DAの構造

ピストンバルブSV35DAの構造図

サンエイテックのディスペンス用ピストンバルブも一般的な物と同様、シリンダーの中にピストンが挿入されている構造です。ピストンは液剤シール部のシーリングヘッドまで一貫した構造となっており、ピストン全体はピストンスプリングによって引き上げられています。シーリングヘッドも引き上げられることによってシールしています。シーリングヘッドの動作量(サックバック量)は、ピストンストローク調整によって調整が出来る構造です。接液部と駆動部はダイアフラムによって分けられており、駆動部への液剤の侵入を防いでいます。
ダイアフラムより下部の接液部は単純な構造で部品点数も少なくメンテナンスが容易です。

ピストンバルブSV35DAの吐出メカニズム

動作概要としては、液剤供給口に加圧されて入ってくる液剤をシーリングヘッドがしっかりとシールをして止めています。
バルブ後端の駆動用エアー口からエアーを取込み、シリンダーを押し下げると液剤の流路が開き液剤がチップアダプタ―に向かって流れだします。駆動用エアーがOFFされるとピストンは引き上げられ、同時にシーリングヘッドも引上げられます。このサックバック動作により残圧を開放し、液剤を引き戻して止めます。

SV35DAの動作図

バルブ駆動エアー圧力が入力されると、シーリングヘッドが押し下げられ液剤が吐出されます。

SV62の動作図

吐出が完了すると、スプリングによって引き戻され、液剤を遮断します。サックバック機構により液切れは良好です。

サンエイテックピストンバルブのおすすめ用途

ピストンバルブSV35DAの用途は多岐に渡ります。中高粘度の液剤がターゲットですが、使われる業界やアプリケーションは様々です。以下に例を挙げます。


・電子部品封止

半導体や基板部品を樹脂で保護し、耐湿性·耐振動性を確保する工程。


・シール材塗布

筐体やケース接合部に均一なビードを形成し、気密·防水性を向上。


・基板部品固定

高粘度シリコーンで基板上のコンデンサーなどの部品を固定します


・フラックス塗布

コネクター端子部へのフラックスの微量塗布。


・放熱グリース塗布工程

摺動部や放熱部に適量塗布し、潤滑性·熱伝導性を安定維持。


ピストンバルブSV35DA用途の画像

まとめ

ここまで、ディスペンス用途のピストンバルブの基礎的な知識からサンエイテック製のピストンバルブSV35DAまでご紹介してきました。ピストンバルブは、中高粘度材料を「確実に吐出し、確実に止める」ことを実現する方式として、多くの製造現場で採用されています。高い遮断性と安定した流量特性により、グリースやシリコーン、各種樹脂などの塗布工程において品質のばらつきを抑制します。一方で、微小吐出や超高速用途には適用範囲の見極めが重要です。SV35DAは、サックバック機構による液だれ防止、UHMW採用による高耐久·高耐薬品性、ダイアフラム構造による駆動部保護を兼ね備え、安定稼働と長寿命化に貢献します。用途や液剤特性に応じた適切なバルブ選定が、生産性と品質向上の鍵となります。

サンエイテックのピストンバルブはお客様のご要望に合わせて2機種の準備がございます。弊社では、ご要求に合わせて適切に選定をさせていただき、迅速な立上げを支援させていただきます。
デモ機のお貸出しや塗布テストについても対応をさせていただきますのでお気軽にご連絡くださいませ。