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自動車・自動車部品

高充填フィラー系放熱材料の安定塗布によるEVバッテリーユニットの長寿命化

課題背景

EV(電気自動車)の高性能化が進む中で、バッテリーユニットの熱マネジメント(温度制御)は、性能・寿命・安全性に直結する極めて重要な技術要素となっています。バッテリーパック内部の発熱源から効率的に熱を逃がすために、高熱伝導性の放熱材料(TIM:Thermal Interface Material)を線状に均一塗布する必要があります。

  • 高粘度・高充填材料によるディスペンサーパーツの摩耗
    無機フィラーが高濃度で含まれる放熱材は研磨性が非常に高く、ローターやステーターなどの可動部品が短期間で摩耗してしまう。
  • 摩耗による塗布精度の劣化
    部品摩耗により吐出量に微細なばらつきが発生し、膜厚の不均一や熱伝導性能のばらつきを招いてしまう。
  • 頻繁なメンテナンス・交換コストの増加
    摩耗した部品の定期交換や、予防メンテナンスの頻度が高く、設備停止・工数・コストが増大していた。

導入効果

セラミックローター搭載型vipro-PUMPシリーズの導入により、下記のような改善が実現しました:

  • セラミックローターによる摩耗低減と寿命延長
    金属に比べて硬度・耐摩耗性に優れたセラミック製ローターを採用することで、高フィラー材でも摩耗を抑制。従来数週間で交換が必要だった部品寿命が数倍に延伸し、安定運用が可能に。
  • ±1%以内の定量塗布精度を維持
    研磨性材料に対しても容積制御方式で吐出精度を確保し、均一な膜厚と塗布線の形成が実現。これにより、熱伝導性能の安定化とEVバッテリーモジュールの信頼性向上に貢献。
  • ダウンタイムの削減とメンテナンス最適化
    部品交換頻度が減少したことで、定期メンテの作業負担と設備停止のリスクが大幅に軽減。生産性の維持と総運用コストの削減を両立。

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導入製品

(大容量タイプ)vipro-PUMPシリーズ ディスペンサー

vipro-PUMPは±1%以内の高精度容積吐出を実現する回転容積式ディスペンサーで、EV用途のような高粘度・高フィラー・高機能材料の線塗布に最適です。

  • 最大2,000,000mPa・sの超高粘度材料に対応
  • 定常流による線幅・膜厚の安定化で放熱性能を均一化
  • セラミックローターによって高研磨性材料でも長寿命運用
  • 1液/2液放熱グリース・樹脂・ジェルの塗布に幅広く対応
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セラミックローター

  • 硬質無機フィラー含有の研磨性液剤に対応
  • 金属部品に比べて摩耗・腐食・変色に強く、耐久性に優れる
  • ローターの寿命延長により、トータルシステムの維持費を大幅に削減