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家電

家庭用および業務用の屋外空調機器・大型送風機/冷風機の制御基板への防湿コーティングによる信頼性向上と製品寿命の確保

課題背景

近年、家庭用および業務用の空調機器や大型送風機・冷風機といった製品は、住宅の屋外設置や工場・倉庫といった過酷な使用環境での長期稼働が求められています。これらの機器に搭載される電子制御基板は、次のような厳しい環境要因に常時さらされることになります:

  • 雨水や湿気による水分侵入
  • 粉塵、油分、塩分などの付着物
  • 日射や気温差による温度変動・結露

これにより、基板は以下のような不具合リスクに直面します:

  • 電子部品の腐食
  • 絶縁性能の低下
  • 回路ショートや誤動作の発生

こうしたリスクを未然に防ぎ、機器全体の信頼性と長寿命を実現するために、防湿コーティングの適用が有効なソリューションとして注目されています。

しかし、従来の塗布プロセスでは以下の課題が指摘されていました:

  • 飛散問題
    コーティング材が想定外のエリア(センサー部やコネクタ部)に飛散し、誤動作や接触不良の原因となる。特に量産時には、塗布のばらつきによって歩留まりが低下し、生産コストの増加要因ともなっていた。
  • 膜厚の不均一
    塗布開始点や終了点で液だまり・盛り上がりが生じ、膜厚にムラが発生。同一基板内でも防湿効果や見た目の品質にバラつきが出ることが多く、製品全体の信頼性に影響を与えていた。
  • 気泡問題
    部品の隙間や基板端部に気泡が混入しやすく、乾燥後にクラックや空隙が残ることで絶縁不良や保護不十分の要因となり、長期使用時の故障リスクが高まっていた。

導入効果

これらの課題を解決するために、当社ではコンフォーマルコーティング用バルブSV70を導入し、防湿塗布の品質と安定性を向上させました。

  • 飛散の防止と高精度ターゲット塗布
    SV70に搭載されたスクエアノズルにより、吐出量と吐出位置の高精度制御が可能となり、不要なエリアへの塗布を防止。重要部位を確実に保護することで、歩留まり改善と再作業の削減を実現しました。
  • 膜厚の均一化と外観品質の安定化
    塗布開始点・終了点での液だまりを抑え、基板全面にわたって均一な塗膜を形成。結果として、防湿効果のバラつきが解消されるとともに、外観品質の安定性も向上しました。
  • 気泡の抑制と長期信頼性の確保
    低流量かつ安定した吐出制御により、部品間や狭隘部でも気泡の発生を抑制。長期使用においても絶縁性能と保護性能を持続させることができ、特に屋外環境での製品寿命延伸に大きく貢献しています。

導入製品

コンフォーマルコーティング用バルブ SV70

SV70は、防湿剤を精密かつ飛散なく塗布可能な高機能バルブであり、量産ラインにおいても安定した品質と高い生産性を提供します。

  • スクエアノズルによる飛散防止:指定エリアにのみ精密塗布が可能となり、センサー部やコネクタ部の誤塗布を回避。歩留まり向上に大きく寄与。
  • 膜厚均一性の確保:塗布開始点・終了点での液だまりを抑制し、全体にわたって安定した塗膜を形成。製品品質のばらつきを防止。
  • 次元の異なるコーティング品質の実現:従来工法と比較して、保護性能・吐出精度・作業性すべてにおいて優れた性能を発揮。特に過酷環境下での基板保護に適しています。
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