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エンジニアリングなよもやま話
 
よもやまその1
小さいが故の高信頼性「小型ハードディスク」
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よもやまシリーズ15の話と新シリーズのご案内
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「微量微圧塗布テクニカルガイド」をお送りします!
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よもやまその1 小さいが故の高信頼性「小型ハードディスク」
最近「ハードディスク内蔵○○」という家電製品を良く見かけます。すなわち、「携帯音楽プレイヤー」を筆頭に、「ハードディスク内蔵ビデオカメラ」「ハードディスク搭載ケータイ電話」などなど。これらのハードディスクはサイズが「1.1インチ」や「0.8インチ」という極小のもので、ディスクのサイズも100円玉と同じ大きさにまで小型化されています。ハードディスクの構造は、いってみれば「箱に入ったレコードプレーヤ」で、回転するディスクの上に磁気ヘッドという「針」でデータを書き込んだり、読み取ったりしています。この構造自体は、パソコンに用いられている3.5インチサイズのものも、ハンディ機器用の1インチサイズのものも、基本構造としてはほぼ同じものが収まっているというのですから、技術の進歩、特に小型化・高密度化の進歩は、本当に目を見張るものがあります。  

よもやまその1 高密度化のキーワードは「垂直」
例えば1インチサイズのハードディスクには、同心円状に約2万本のトラック(レコードの溝)が刻まれています。実は、ここにデータを書きこむというのは、スケールアップして考えると、約40?先の地面に置いた紙に、長い釣竿の先につけた筆で点を打つほどの精度が必要になるのです。更に、記録面に沿って磁界をかける従来の水平磁気記録方式では、1ビット記録に用いる磁区が狭くなり、周囲と打ち消しあって磁力を失ってしまい、90年代には「これ以上の高密度化は困難」といわれていました。しかし、「出来ない」ことを解決するのが技術者というもので、70年代後半から研究が行われ、04年に製品化されたのが、磁界の方向が記録面に対して垂直になっている垂直磁気記録方式でした。これは、密度を高めても個々の磁区を大きく取ることができ、その上、周囲の磁区同士が磁力を強めあう性質を持っているので、相互干渉がなく、正確な書き込みが出来るという優れものでした。これにより、ハードディスクの小型化は再び加速し、パソコンからPDAなどのハンディパソコン、更には家電製品にまで搭載範囲を広げていったのです。  

よもやまその1 小さいからこそ、衝撃に耐えうる?!
しかし、思い起こせば、ハードディスクとは、ほんの2・3年前までコンピュータ関連の機器では「壊れるもの」の代名詞ではありませんでしたか? 「あぁ、ハードディスクがクラッシュした!」「バッカだなあ、だからこまめにフロッピにバックアップ取っとけっていったのに」なんていう会話も、データを扱う職場では日常茶飯事でした(本当は、それでは困るのですが)。実際、今でもコンピュータトラブルの多くは「ハードディスクの動作不良」だといわれていますし、産業用のハードディスクレスコンピュータのキャッチには「稼動部分がなく、高信頼」と付くほどです。それが、ハンディサイズの機器の中に使われているとなると、「小さいもの」=「細かい部品」=「壊れやすい」というイメージで、「信頼性はどうなんだろう」という不安も生じて当然でしょう。しかし実は「小さい」からこそ、この問題をクリアできたのです。というのは、小型ハードディスクは部品もごく小さく、軽量に出来ています。例えば最近の機種では、磁気ヘッドの大きさは1?以下、重量にして約0.6?程度です。つまり、それだけ衝撃によって生じる慣性も、ごく小さなエネルギーで済んでいるのです。勿論、このような単純な物理的理由だけでなく、誤り訂正技術や、ハードディスクを包む衝撃吸収材、更にそれをシールドケースで包むなどにより、高い耐衝撃性、EMC対策などが施されているのです。しかし、記録装置としてのハードディスクは「回転」するもの、いくら衝撃吸収体になっているとはいえ、回転中に衝撃を受けると、やはりエラーが生じます。ですから、「瞬時にデータの授受を行うか」つまり「如何に回さないか」という逆転の発想が行われたのです。また、ハードディスクは「回転体」であると同時に「発熱体」でもあるのですが、このケースには熱伝導性に優れた素材が選択され、放熱機能も持たせたものになっているのです。据置きで使うことが前提のパソコンと違い、持ち歩くからこその工夫、知恵が詰まっているのが、「小型ハードディスク」なのです。

などなど、小さなボディに秘められた工夫を紹介してきましたが、もう一点、忘れてはいけないことに、「製造工程の高精度化」があります。つまり、加工技術の向上、小さな部品でも高い精度で組立てられてゆくラインや、半導体製造のクリーンルームの清浄度や、工程のEMC化など、「高精度な製品」を生み出すのは「高精度な工場」なのです。いかに「技術」が進化しようと、それを製品という「存在」にするには、それに関わる全てが「それに応えうる高精度化」を果たさなければ、机上の空論に過ぎません。つまり、日本の「ものづくり」はこの点から見ても優れているのであり、両者のバランスが保ててこその「高機能製品」であるのです。
小型化・高密度化の進歩


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よもやまその2 よもやまシリーズ15の話と新シリーズのご案内
今回で『よもやま話シリーズ』も15回を迎えることができました。ご愛読いただき誠にありがとうございます。さて、次回からは「サンエイテックメルマガ新シリーズ」をお届けいたします。『近未来の快適デジライフ』と題して、刻々と進歩する身近なデジタル製品を中心とする話題の技術を中心に、ちょっと先が覗けるエンジニアさん必見のテーマをお届けいたします。さらに、毎回書籍プレゼントのコーナーもご用意いたしますのでご期待下さい。引き続きご愛読をどうぞよろしくお願いいたします。  
よもやまその2 これまでお送りした15のバックナンバーです
これまでお送りした、15のバックナンバーです。詳しくは下記URLでどうぞ。
http://www.san-ei-tech.co.jp/webmagazine/backnumber/yomoyama/

VOL1 CCDのサイズはどこの長さを言ってるの?
VOL2 「液晶」自体では画素にならない、色がない、光らない
VOL3 燃料電池の原理は江戸時代に発見されていた
VOL4 忙しい現代人にぴったり。圧力鍋は調理時間が1/3!
VOL5 日本全体で節約すれば、六本木ヒルズが毎年建つ
VOL6 手袋のまま押しても反応しないタッチパネルがあるらしい
VOL7 人体が発する赤外線を感知して開く自動ドア
VOL8 磁気テープには肉眼では見えない棒磁石がたくさんある
VOL9 1個のミトコンドリアを狙い撃ちできるレーザー
VOL10 −173℃でも「高温」という不思議な世界
VOL11 最も身近なIT機器は、実は由緒正しい「暗号送信機」だった!
VOL12 意外にも「叩けば直る!」は真実だった
VOL13 はじまりは「牛の目」だった…
VOL14 携帯電話は、最先端技術の「総合デパート」
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