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液剤を知る

第5編|一液性ウレタン接着剤の基礎と塗布課題

―硬化制御から糸引き対策まで、現場課題をトータルで解決

ウレタン接着剤とは

ウレタン接着剤とは、イソシアネート基(-NCO)と水酸基(-OH)との化学反応により硬化する、ポリウレタン樹脂を主成分とした接着剤です。反応後に形成されるウレタン結合(-NH-CO-O-)により、高い接着強度と優れた弾性・耐久性を兼ね備えるのが特徴です。製品形態としては、主に一液性と二液性に分かれており、硬化条件・作業時間・性能要件に応じて選択されます。
ウレタン系接着剤は、金属・ガラス・樹脂など多様な素材に対して優れた接着性を示し、さらに柔軟性・耐久性・耐熱性を兼ね備えた、工業分野において不可欠な接着材料です。家電、自動車、建材、電子部品など、幅広い分野で採用されており、製造現場では高い精度と安定した塗布品質が求められています。

一液性ウレタン接着剤の特長

一液性ウレタン接着剤は、単一の主剤のみで構成されており、空気中の湿気や熱に反応して硬化するタイプの接着剤です。あらかじめ主剤内に必要な成分がバランスよく配合されており、使用時に混合や撹拌を行う必要がないことから、現場での作業性・工程簡略化に大きく貢献します。


  • ・使いやすさに優れる:混合不要で、作業性・取り扱いが簡便
  • ・設備構成がシンプル:単一ラインで塗布が可能、保守負担も小さい
  • ・比較的長いオープンタイム:大型部材や複数工程のある製品に向く
  • ・湿気硬化型の場合、乾燥環境には不向き:湿度が低い環境では硬化に時間を要する


主なタイプと特徴

タイプ 主な硬化原理 特徴・用途例
湿気硬化型ウレタン接着剤 空気中の水分と反応して硬化 最も一般的なタイプ。
構造接着や防水封止に多用される。
熱可塑性ウレタン接着剤
(TPU系)
熱で軟化・冷却で固化 リワーク可能。
フィルム接着やラミネート用途に適する。
溶剤型ウレタン接着剤 溶剤揮発後に硬化 速乾性があり、
塗布後すぐに接着可能。
無溶剤型ウレタン接着剤 反応性成分のみで構成 VOCが少なく、環境対応型。
厚膜塗布に適する。
ホットメルトウレタン接着剤(HMPUR) 加熱溶融後、湿気で硬化 初期接着力が高く、
短時間でハンドリング可能。

硬化方式:湿気反応 / 熱硬化

空気中の湿気や熱に反応して硬化反応が起こる

主な用途例

車両・輸送機器

車両・輸送機器:  内装パネル、ルーフライナー、ダッシュボード材の固定、車載ディスプレイやガラスカバーの接着など

電機製品

電機製品:  プラスチックパネルの貼り、筐体部品の接着、防振部材の固定、薄型デザイン構造への応用など

判定条件 一液性が適する場合
工程の簡便さ 混合不要で、作業が簡単
接着強度 中~高強度(一般的な用途に十分)
耐久性・耐疲労性 通常環境での使用に適する
硬化速度・制御性 硬化条件の制御は難しい
塗布・吐出精度 標準的なディスペンサで対応可能
接着対象との適合性 標準素材(鉄・ガラス・ABSなど)に対応

一液性ウレタン接着剤の塗布課題

一液性ウレタン接着剤は「取り扱いやすさ」「作業性」などが大きなメリットである一方で、塗布工程においては硬化反応や材料特性に起因する課題が発生することがあります。

課題1:硬化時間が長く、環境条件に左右されやすい(=一液性特有)

一液性ウレタン接着剤の多くは湿気硬化型であり、空気中の水分と反応して徐々に硬化していきます。そのため、温度や湿度といった外部環境条件に強く依存し、特に以下のような状況で硬化が遅延しやすくなります:

  • ・低温下での作業
  • ・乾燥室・低湿度エリアでの使用
  • ・密閉空間や湿気が入りにくい構造体の接着部位

低温環境において硬化不良が起きてしまう

課題2:長時間使用時のノズル詰まり・硬化固着(=一液性特有)

一液性ウレタン接着剤は、空気中の湿気に徐々に反応して硬化が進む特性を持っています。
そのため、長時間ディスペンサーを連続運転または間欠運転すると、次のようなリスクが発生します:

  • ・ノズル内・チューブ先端から湿気が侵入
  • ・数十分~数時間かけて先端でゲル化・皮膜形成が進行
  • ・吐出不良・断続的な流量変化

想定される不具合例:
  • ・吐出開始時に「詰まり・吹き出し・飛び散り」が発生
  • ・接着ラインの突発停止・ノズル交換頻度増加
  • ・製品不良・塗布ムラ・やり直し工数の増大

課題3:糸引き・液残りの発生

一液性ウレタン接着剤は高粘度かつ弾性のある物性を持つため、吐出後にノズルから糸状に引き伸びて離れにくい「スレッド現象」が起こることがあります。

想定される不具合例:
  • ・ワーク上に糸状の接着剤が残る(見た目不良)
  • ・接着面以外に液が落ちて汚染(外観・機能不良)
  • ・塗布形状のエッジが乱れ、接着精度低下

一液性ウレタン接着剤のおすすめ製品

一液性ウレタン接着剤は、「糸引き」「ノズル固着」「硬化環境依存性」など、塗布プロセス上で特有の課題が発生しやすい材料です。当社では、これらの課題に対して高精度な吐出制御技術と安定供給構造を備えたディスペンサーを提案しています。

用途や塗布量に応じて、小量~中量向けにはeco-PEN/SV35DAシリーズ、大容量・連続塗布用途にはvipro-PUMPシリーズを推奨しています。

小量~中量精密塗布に最適:高精度ディスペンサー「eco-PEN/SV35DA」

一液性ウレタン接着剤は湿気に反応して硬化するため、密閉性・気密性と精度の高い塗布制御の両立が求められます。

容積移送式高精度マイクロディスペンサー

eco-PEN300/450/600/700 3D
容積密閉の移送構造のため外環境からの影響を受けにくく 安定した液状態で定量塗布が出来るディスペンサー

  • ・容積移送方式で±1%の吐出精度を実現
  • ・粘度の高いウレタン接着剤にも安定対応
  • ・吐出量範囲:0.001~3ml/秒
  • ・メンテナンスが容易で、長期安定運用が可能

製品詳細はこちら

中~高粘度液剤の安定吐出を実現するピストン式バルブ

ピストンバルブ「SV35DA」
一液性ウレタンのように比較的粘度の高い材料でも、サックバック機能により液ダレや糸引きを防止します。

  • ・サックバック機構による糸引き抑制
  • ・ノズル閉塞リスクを低減
  • ・UHMタイプのダイアフラム採用で耐摩耗性に優れる
  • ・長期安定運転が可能

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大容量・長時間塗布に最適:高吐出ディスペンサー「vipro-PUMPシリーズ」

一液性ウレタン接着剤の中でも、製品サイズが大きい部材や連続塗布が求められる用途では、安定した大流量吐出が重要になります。当社のvipro-PUMPシリーズは、高精度容積移送方式を採用した構造により、長時間運転でも安定した塗布性能を発揮します。


大容量タイプディスペンサー

vipro-PUMPシリーズ

  • ・ 粘度に依存しない定量吐出を実現
    → 材料粘度の変化があっても、均一な流量で安定した塗布が可能。
  • ・ バックサック機能で糸引き・液残りを抑制
    → 吐出停止時の液剤戻りを制御し、ノズル先端の固化や液溜まりを防止。
  • ・ ノズル部のクリーニング性が高く、硬化リスクを低減
  • ・ 耐摩耗性に優れ、長寿命設計
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資料ダウンロード・ご相談のご案内

一液性ウレタン接着剤の塗布では、粘度変動・湿度依存・糸引きなど多面的な課題が存在します。
当社では、これらの課題に対して用途・条件に応じた最適なディスペンスソリューションを提案しています。
詳しい技術解説や推奨機種構成については、以下の資料をご覧ください。

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